#060 「一人の力で日経平均を動かさせる男の投資哲学」 cis (しす・個人投資家)著 -その4
4/12に#055で投稿した、cisさんの「一人の力で日経平均を動かさせる男の投資哲学」の解説の続き(その4)を本日は書きたいと思う
以下が、全体となり、今回は#9~11の開設をしていきたいと思う
■主なトピック
以下、本書の内興味を持ったトピック。今日は10~12を解説する。
1.上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる
2. 株はそもそも確率のゲームでない
3.「押し目買い」をやってはいけない目先の「利確」に走れば大勝はなくなる
4.目先の「利確」に走れば大勝はなくなる
5.ナンピンは最悪のテクニック
6.重要なのは損をしないことではなく、大きな損をしないこと
7.相場もギャンブルも基本はプレイヤーが負ける
8.大きく儲けるチャンスは人間の感情が大きく揺さぶられる時
9.リスクヘッジは無駄
10.比較をすべきは「過去」とではなく、「買った値段」と ←本日
11.財務分析をした結果を踏まえて株価が構成されている ←本日
12.マーケットのことはマーケットでしか学べない ←本日
13.ニュースはNHKよりツイッター
14.仕手株が疑われる値動きはチャンス
15.年金のような「盲目の資金」流入時は儲かりどころ
16.トレードというのはつまるところ「お金の奪い合いゲーム」
17.配当は儲からないのでやらない
18.不況時の赤字会社への長期投資はあり
■10.比較をすべきは「過去」とではなく、「買った値段」と
<リンゴと株の違い>
筆者曰く
・株価が上がって、高値が付いたら喜んで買う
とのこと。通常
・普通の人は買えない
何故なら
・今までで一番高いから反動がくるかもしれない、と怖くなってしまう
から、とのこと。
例えば
・リンゴがどんどん値上がりして1個400円となると普通は買いたくない
と思うのが通常である。しかし
・株はそういうものではない
という。
多くの人は
・「安く買って高く売る」という発想
だから、
・高い時は買いたくない
と思ってしまうのが、理由だと述べている。
<何と比較して「高い」か>
その「高い」というのは
・何と比較して高いか
と言うと、
・「過去」と比較して
の話であると、筆者は言う。つまり、
・株価が下がっている時は、
・「過去」と比較してお買い得
だと思ってしまうのが、一般的な考え方だとのこと。
一方で、
・「適正な価格」など本質的には存在しない
といい、結局は
・「買った値段」より高く売れれば儲かる
わけなので、
・「過去」と比較して考えない方がよい
というのが趣旨である。
この内容には度肝を抜かれた。と言うのは、株はファンダメンタル(財務状況が良いかどうか)や、移動平均線からの乖離率が大事だと考えていたからだ。
後述する章では筆者もファンダメンタルを実施していたそうだが、勝つようになればなるほど、シンプルになっていったと述べている。
筆者曰く
・何故皆が同じようにできないかというと、たとえシンプルでも「身銭」を切ってやるのが難しいから
と述べている。つまり
・「反発がくるかもしれない」
と考えて、買うことができない。つまり
・「リスク」を取ることが出来ない
と言っているのだ。投資は
・リターンを求めてリスクを取る行為
なので、
・リスクは絶対にある
・リスク恐怖症の人は相場には向かない
と言うことを言いたいのだと理解した。
恐らく、これはこの章では名言していないが、もし反発して下落したら、「損切り」すればよいということなのであろう。
それより、得られるリターンを期待しよう、というのが考え方なのであろうと思う。
■11.財務分析をした結果を踏まえて株価が構成されている
筆者曰く
・自身で財務分析をした結果「割安」と判断した銘柄も、他者も同じことはしており、それらを踏まえた上での現在の株価である
と述べている。つまり「割安」と判断したと思い込んでいたとしても、実は
・企業の価値を株価が正しく反映していない、というより「株価こそが答え」
であり、
・株価こそが総意として適正だとみなされている数字
である、とのことである。
特に
・大型銘柄は十分に研究されていて、割安なまま見過ごしているなどありえない
といい
・インサイダーのような明らかな情報がない限り、自分に優位性はない
とのことである。結果として
・誰でも持っている情報では安定的には勝てない
ということで、自分の判断で
・割安と決めつけて買ってしまうと負け続ける
と言うことらしい。
なかなか厳しい意見だが、筆者も当初ファンダメンタル投資をしていたとのこと。
その際に当時のJAS(ジャパン・エア・システム)がJALやANAに比べて割安だったと分析の結果結論付け、購入したところ、
買うと下がり、また買うと下がったそうだ。最後にはゴミ同然の価格でJALに吸収合併されてしまった、という苦い経験があるという。
つまり、
・「割安」だと考えるのは、あくまで「主観」に過ぎない
ということに気が付いていなかったことが原因だ、ということだ。
自分だけが気づいていて、他者が気づいていない、というのはおごりで、実は皆が気づいている、それが株価だ、というのが考え方だ。
また、
・信用される企業はさらに信用され、割安な株はさらに割安になる
というのが真実に近い、と述べている。つまり
・株式市場は公平や平等という概念で動く場でない
ということだ。これに気づいてから、今のスタイルに至った、とのことだ。
確かに、圧倒的な情報を保持している人がいたら、それに勝てないというのはその通りだろう。であれば、そうでない方法で勝つには、情報量でない方法、つまりは上がっている時に買い、下がっている時に売る、という方法に行き着いた、というのは確かに理にかなっている。
■12.マーケットのことはマーケットでしか学べない
筆者がどのように勉強したか、と聞かれると
・ひたすら値動きを見た
と答えるそうだ。では本などはどうかというと
・本に書いてあるのは過去のことで、未来には役に立たない
といい、
・マーケットのことはマーケットでしか学べない
という。筆者曰くトレーダーとして難しいのは
・トレーダーは自分の理論を何度も否定していかなければならない
ことだ、と述べている。
つまり、一度うまく行って、理論が出来たとしても、それを再現しようとすると失敗し、その理論を自分で否定することの繰り返し、ということだ。
ただ、筆者は
・値動きが見たくて夜中に起きてしまう
というように、努力はしているが、
・嫌々見ているわけでなく、ゲームをしているのと同じだ
という。
<自分の状態よりマーケットの状態>
筆者も
・最近勝てないな
と思うことも何度かあったそうだ。そんな時は
・自分はもう終わった、スランプだ
と言っている場合でなく
・数分後の株価、明日の株価を考えるしかない
と述べている。つまりは
・自分は大丈夫か
とか、
・行くべきとき、引くべき時の判断がくるってないか
とか、考えている暇はなく、マーケットの状況を考えるべきだ、ということだ。
重要なのは
・「自分の状態」より「マーケット」
ということであり、あくまで
・「マーケット」に合わせるしかない
ということだ。
筆者は初めて半年で勝ちに転じたそうだが、マーケットに対する理解は、経験を重ねると違ってきたそうだ(今が100だとすると、始めたころは20くらいとのこと)。
当時は、機関投資家やファンドが大きな資金を使って買っていたので、それに乗っかっていたそうだ。
儲かっているところを
・素早く学習して、
・早く行動して、そこに
・信用取引を全力で乗せていた
そうだ。
ちなみに当時に比べると今はマーケットの複雑性が増しているので、今の方がよりマーケットを信用していない、とのこと(笑)
筆者曰く
・よりビビっている
・なのですぐ逃げる
とのこと(笑)
やはりこのような「逃げ足」の速さが、継続的に勝つための秘訣なんだ、と改めて実感したセクションだった。
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