#079 なぜ投資のプロはサルに負けるのか 第五章 現代ポートフォリオ理論のシュールな結論①

本日からは、第五章「現代ポートフォリオ理論のシュールな結論」の、その①を解説したい

以下が第五章の内容となる。本日は1~3について解説する

1.ひとつのかごにすべての卵を入れてはいけないということ ←本日
2.ポートフォリオとリスク分散効果 ←本日
3.ノーベル経済学賞受賞マーコビッツのポートフォリオ選択モデルと有効フロンティア ←本日
4.市場ポートフォリオという概念
5.金融工学の最大の発明?インデックス・ファンド
6.アクティブ運用とパッシブ運用
7.ヘッジファンドや証券会社にお金を配るインデックス・ファンド
8.インデックス投資でプロの膨大な知識と血のにじむような努力にタダ乗りする

■1.ひとつのかごにすべての卵を入れてはいけないということ

  • 「現代ポートフォリオ理論」
    • ファイナンス理論の王様
    • 理解すればその辺の金融機関で働いている並の「投資のプロ」より金融知識では上
    • 究極の投資法もおのずと明らかになる
    • 現代とあるが50年以上前に生まれた
    • 「ポートフォリオ」とは保有銘柄リストのこと
      • 例えばトヨタ株5億円、NTT株2億円、ソニー株3億円を保有している、など
      • 「ファンド」や「バスケット」という言い回しも、「ポートフォリオ」と同義で使われる
  • 現代ポートフォリオの理論のエッセンス
    • ひとつのかごにすべての卵をいれてはいけない
    • かごを落とすと、全部いっぺんにダメになる
    • 恋愛に応用すると、ひとりの恋人にすべての愛を集中させていると、その恋人に振られると悲しい思いをするので、複数の恋人に愛を分散させなさい、ということ(笑)
  • トヨタの新型車に大きな欠陥があり、リコール騒ぎが起きると株価が大暴落
    • トヨタ自動車しか持っていなければ、投資家は大きな損失を被る
    • しかし3銘柄に分散していれば、3つ同時にネガティブなニュースが起きることはほとんどあり得ない為、リスクも限定できる
  • このような当たり前のことを数学的に突き詰めていった結果、すごいことが色々と分かり、ノーベル賞を取ってしまった

とのこと。

この後詳しく解説されるが、この「現代ポートフォリオ理論」が、本書の結論を述べているといっても過言ではない。

ここまで読むと単なる分散投資のように見えるが、それ以上のものがある。

■2.ポートフォリオとリスク分散効果

  • 全ての投資プロセスの目的は、「与えられたリスクの範囲内でリターンを最大化する」こと
    • 同じリスクならリターンが高い方がよい
    • 同じ期待リターンなら、リスクが小さい方がよい(=ファイナンス用語で「リスク回避的」と呼ぶ
  • 株価予想はどんなプロでも至難の業むしろ不可能に近い
    • そこで「分散投資」の考え方が重要になる
  • 例)トヨタNTTソニー100万円を3等分して33万3,000円ずつ投資した結果、ポートフォリオがどのように推移したかを表したグラフ
  • このポートフォリオは現在(2006/3時点)約145万円(=約45万円の利益
    • トヨタ1点買いと比べれば小さい利益
      • しかしNTTソニーに投資していたら、ほとんど利益が出ていない
        • しかも、ソニーは2003/4に一時暴落約80万円まで下がっている
        • この時点では20万円の損失であった
        • ソニー1点買いであると、損失ははるかに大きくなっていた
  • 重要なことが分かる
    • ポートフォリオの価格の推移を観察すると
      • 個別銘柄に投資するよりも、かなり滑らかに推移している
    • つまり、毎月の価格のブレが分散投資によって小さくなった
      • 大きく儲かる事もなければ、大きく損することもなくなった
    • ポートフォリオ全体のリスクは、個別銘柄のそれぞれのリスクよりも小さくなった
    • しかし、リターンの期待値が分散投資により下がったわけではない
    • ポートフォリオを組むことにより、リターンを減らさずにリスクをある程度回避できる
    • これがノーベル経済学賞につながる「分散効果」である
  • なぜそのようなことが可能か
    • 理由は、各個別銘柄が必ずしも連動して動いているわけでない為
    • トヨタ株が好調の時は、ソニー株が不調だったり、その逆もある
  • もし連動性が強く、同じ方向に動く場合、分散効果は期待できない
    • 分散効果は連動性が弱い銘柄同士を組み合わせるときに、よく効く
  • その為、ポートフォリオ全体でのリスクは低下しても、期待リターンは必ずしも下がらない
    • 理由はポートフォリオ全体の期待リターンは、個別銘柄の期待リターン加重平均で計算できるから
  • 例)トヨタNTTソニー期待リターンそれぞれ5%とした場合
    • ポートフォリオ全体の期待リターンも、5% ÷ 3 + 5% ÷ 3 + 5% ÷ 3 =5%となる
      • 個別銘柄の期待リターンと同じになる
    • ポートフォリオを組むことによるリスク分散効果は、マーケットで未来永劫なくならない唯一のフリーランチである

とのこと。

これまで「分散投資」は「リスクが下がる」という文脈で理解はしていたが、「期待リターンが下がらない」ということは認識していなかった。

念のために、5%でない場合(4%の場合や6%の場合)も計算してみたが、同様であった(下記)

トト=トヨタ、N=NTT、ソ=ソニー

つまり、同じ5%の期待リターンなら、1つより、3つの銘柄を買い加重平均が5%になるほうが、期待リターンは買えずに、リスクのみ減らすことができる、ということである。素晴らしい!

■3.ノーベル経済学賞受賞マーコビッツのポートフォリオ選択モデルと有効フロンティア

  • 各銘柄の期待リターン「R」とする
  • リスク「σ(シグマ)」とする
    • リスクは将来の実現リターンの「ブレ」であり、「標準偏差」で表せるとする
  • それぞれの「銘柄間の連動性」は、相関係数「ρ(ロー)」で表せるとする
    • 相関関数はマイナス1からプラス1までの範囲をとる変数
    • 株式などでは通常0から0.8くらいの値を取る
    • 1に近づくほど連動性が強く、0だと全くバラバラに動いている
    • マイナス1だと、全く逆に動いている
  • 銘柄Aと銘柄Bの共分散は、銘柄A と銘柄Bの相関係数ρに、銘柄Aと銘柄Bのリスクσをかけ合わせれば計算できる
  • 銘柄Aのリスク、つまりリターンの標準偏差を2乗すると、分散が計算できる
  • ポートフォリオの表し方
    • 「ウエイト」という考え方
      • 簡単に自分のポートフォリオを数学的に表現できる
    • 例)トヨタ5億円NTT2億円ソニー3億円持っている場合
      • トヨタ5億円÷10億円=ウエイトが0.5になる
      • NTT2億円÷10億円=ウエイトが0.2になる
      • ソニー3億円÷10億円=ウエイトが0.3になる
    • ポートフォリオを構成する全銘柄のウエイトを足し合わせると、1になる
  • 「期待リターン(R)」と、「リスク(σ)」は、それぞれの銘柄ごとに決まっている
  • 「相関関数(ρ)」銘柄同士の組み合わせで決まっている
    • よって、これらの変数は所与のもので、勝手に動かすことは出来ない
  • しかしながら、自分のポートフォリオの「ウエイト」自分で勝手に決めることが出来る
    • 「期待リターン(R)」、「リスク(σ)」、「相関係数(ρ)」、「ウエイト(W)」から、ポートフォリオ全体での期待リターンとリスクが計算できる
  • 例えば、ポートフォリオ全体のリスクを20%以下にしなさいとコンピューターに指示すれば、リターンが最大になるよう最適なポートフォリオを組む、つまり最適な「ウェイト」を決定することができる
    • 許容できるリスクを仮に30%から29%、28%、27%1%ずつ減らしながら順番にコンピュータにリターンが最大になるようなポートフォリオを作れと指示するとどうなるか
    • この最大の期待リターンを順番にプロットして行けば、曲線が描かれる
    • この線が「有効フロンティア」
  • 個別銘柄への単独投資を含む、全てのポートフォリオが、リスクーリターン特性でこの曲線より外側へはいけない
    • 逆に言えば、リスクとリターンの観点から最適なポートフォリオは、全てのこの有効フロンティアの上に載っている
    • これがノーベル賞を受賞した、マーコビッツの「ポートフォリオ選択モデル」である
  • しかしながら、このモデルは、実用上全く使い物にならない
    • 理由は、推定しなければならないパラメーターが多すぎるから
    • 仮に100銘柄のポートフォリオの場合
      • 各銘柄の期待リターン(R)を100個推定する必要がある
        • 正確に推定することは、絶望的に不可能
      • 各銘柄のリスク(σ)を100個推定する必要がある
        • 過去の価格変動データからある程度推定できる
      • 相関係数(ρ)
        • 100銘柄と100銘柄の組み合わせの為、総数は4,950通りになる
          • [参考]100銘柄 x 99通り x 2(重複削除) = 4,950
    • ものの本には、コンピュータのスピードが上がった為、計算できるようになったとしているものもあるが、間違い
      • 期待リターン(R)あくまで「将来」の「期待値」である
      • コンピュータの性能が向上しても、将来の予測の問題が解決されるわけではない
    • モデル自体は完全に正しくても、モデルにインプットするパラメーターを誰も計算できない
      • つまり間違った入力に対して、完全に正確な答えを導き出すだけ

とのこと。

一見パーフェクトな理論が出て来たかと思えば、またしても実用的でない、という結論。。

ここだけ見ると残念な結果で終了・・となりそうだが、この後の核心的な結論に導くための布石であった。

次のセクションでこの「ポートフォリオ選択モデル」を発展させた「市場ポートフォリオ」の説明となる。

続きは、次回に。。お楽しみに!!^ ^

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