#081 なぜ投資のプロはサルに負けるのか 第五章 現代ポートフォリオ理論のシュールな結論③

本日は、第五章「現代ポートフォリオ理論のシュールな結論」の、その③を解説したい

以下が第五章の内容となる。本日は7~8について解説する

1.ひとつのかごにすべての卵を入れてはいけないということ
2.ポートフォリオとリスク分散効果
3.ノーベル経済学賞受賞マーコビッツのポートフォリオ選択モデルと有効フロンティア
4.市場ポートフォリオという概念
5.金融工学の最大の発明?インデックス・ファンド
6.アクティブ運用とパッシブ運用
7.ヘッジファンドや証券会社にお金を配るインデックス・ファンド ←本日
8.インデックス投資でプロの膨大な知識と血のにじむような努力にタダ乗りする ←本日

■7.ヘッジファンドや証券会社にお金を配るインデックス・ファンド

  • インデックス・ファンドは経済的な根拠がある
  • 日本でもインデックス運用が増えてきている
    • 日本国民の年金積立金の運用
      • 2000年ごろからインデックス運用の比率を大幅に引き上げた
    • 国民の資産を委託していた資産運用会社のファンド・マネジャーがあまりにしょぼくれた成績を出し続けた
      • アクティブ・ファンドはダメということに、日本国政府も気づいた
    • 年金積立金の日本株の運用部分をTOPIXに連動するインデックス・ファンドにどんどん変更して行った
  • TOPIXインデックス・ファンドは東証一部上場企業すべての企業を時価総額の比率で保有するポートフォリオ
    • 執筆時点(2007年)では東証一部上場企業の全時価総額の5%程度が、TOPIXインデックス・ファンドに保有されていると言われている
  • しかしそんな巨大なTOPIXインデックス・ファンドが日本の株式市場に突然現れたらどうなるのか
    • TOPIXインデックス・ファンドはどんな銘柄でも東証一部の会社なら、時価総額の比率で買わなければならない
    • ということは、東証二部の会社はJASDAQの会社が東証一部に市場を変更すると、これらも買わなければならなくなる
  • 市場変更や上場のスケジュールは前もって発表されており、TOPIXの計算にどのように反映されるかはルールでしっかり決まっている
    • このような銘柄を前もって買っておいたヘッジファンドや証券会社のトレーダーは濡れ手に粟のぼろもうけをした
    • これらの儲けは、何も知らない国民の損失から来ている
  • 市場の効率性により正当化されるはずのインデックス・ファンドが、自らの行動により市場の効率性を破壊することになった
    • アクティブ運用でカモられた日本国民の年金資産は、インデックス運用でもカモられた
  • しかしその後2~3年でこの方法は儲からなくなってしまった
    • この方法があまりに有名になってしまったので、ヘッジファンドや証券会社のトレーダー、個人投資家がTOPIXに組み込まれる銘柄を前もってたくさん仕込むようになった
    • 結果、実際にTOPIXインデックス・ファンドが買う日は、逆に売り手でいっぱいになった
    • TOPIX組み入れ銘柄が、暴落することもたびたびあった
  • このように市場にできた歪みは、みんなに知れ渡るとすぐに消えていくという宿命を持っている
    • 当初は巨大化したインデックス・ファンドの歪みによって、何も知らない国民の財産が奪われた
    • 現在(2007年時点)ではこの歪みもなくなり、インデックス・ファンドに投資する国民が財産を奪われることもなくなった
  • 誰のおかげで、国民の利益が守られたか
    • 政治家でも官僚でもなく、ヘッジファンドや証券会社のトレーダーのおかげ
    • 市場にできた歪みをいち早く見つけてトレーディングというマネーゲームで富を作り出そうとしている、金の亡者の行動
      • 市場の歪みを修復し、結果的に国民の利益を守る
    • これが「市場原理」である

とのこと。

ここでもインデックス・ファンド無双の説明をしている。TOPIXインデックス・ファンドがスタートした直後は、市場の歪みに目を付けたヘッジファンドや機関投資家がぼろ儲けをしたものの、あまりにぼろ儲けをした為有名になり、皆がまねをしたことで、逆に東証一部上場時に値が下がる事になった、というストーリーだ。

そうなると、儲からないのでやらなくなり、結局はインデックス・ファンドに投資している人が一番儲かる、という元の仕組みに戻る、という訳だ。

ここでもアクティブ・ファンドが儲けようと努力することで、市場原理が保たれるという「神の見えざる手」が作用していることとなる。

実に面白い。

■8.インデックス投資でプロの膨大な知識と血のにじむような努力にタダ乗りする

  • 何故平均すると、アクティブ・ファンドはインデックス・ファンドに勝てないのか
  • なぜプロ中のプロが血のにじむような努力をして運用するアクティブ・ファンドは、しょぼくれた成績を出し続けるのか
  • 答えは、市場が大変に効率的だから
    • プロが頑張れば頑張るほど、市場が効率的になっていく
  • 時に歪みが生じ、そこから利益をあげることが可能となる
  • 市場は「大変に」効率的だが、「完全に」効率的ではない
    • 人の創り出したものに完全なものがない以上、人の創り出した金融市場もやはり完全ではない
  • しかし市場が効率化する力は、多くの人が思うよりはるかに強力
    • 直ぐに歪みは消えてしまう
  • このような市場で儲け続けるには、誰よりも早く歪みを発見し、いち早く利用するしかない
  • 投資家の合理性市場の効率性を見つめれば、現代ポートフォリオによりインデックス運用が最善の投資方法だということが論理的に導けた
    • しかしパラドックスがある
    • 誰もが現代ポートフォリオ理論を信じれば世界中インデックス・ファンドだらけになる
      • インデックス・ファンドは既存のインデックスとそっくりに証券を買うだけ
      • 会社の将来性などを分析して、適正な価格を計算したりしない
    • つまり、インデックス・ファンド「だらけ」になってくると、誰も証券の正しい値段を考えなくなる
    • 市場の効率性が大きく低下する
    • そうなると、少数派のアクティブ・ファンドがぼろもうけできるようになる
  • 突き詰めて考えると、インデックス・ファンドの数はある程度まで増加し
    • 市場の効率性が少しずつ損なわれ
    • アクティブ・ファンドが証券を分析するのにかかるコストに見合うだけの継続的な儲けを出せるような状態になるところで
    • インデックス運用と、アクティブ運用の比率がバランスするはず
  • しかしそのようにはならない
    • 理由は人間は途方もない「オーバーコンフィデンス・バイアス」を持っているから
      • 90%の人が自分は平均より優秀だと思っている
      • 実際は平均程度の人でも、市場を打ち負かしてやろうとコストを省みず、果敢に挑戦し続ける
      • 結果として、市場の更なる効率化に、自らのコストを払って貢献する
  • まとめ
    • インデックス・ファンドが優れている理由=現代の市場は大変効率的だから
    • 誰が市場を効率的にしているかアクティブ・ファンドのファンド・マネジャーアナリストヘッジファンド証券会社のトレーダー
    • 朝から晩まで市場に出回る証券の価値を分析し、死に物狂いで市場にできる歪みを探している
    • 市場を効率化するには、非常に優秀な投資のプロの血のにじむような努力が必要
    • これらの多大なコストアクティブ・ファンドへ投資する「個人投資家」運用報酬という形で負担している
    • 市場が効率的ならインデックス・ファンドが最善である
    • 市場の効率性はアクティブ・ファンドの投資家によるコストの負担で実現されている
    • アクティブ・ファンドの投資家によるコストのおかげで市場は効率的になり、アクティブ・ファンドは平均するとサル以下の成績になる
    • 結果として、市場の効率性をフルに利用できるインデックス・ファンドが優れた成績を収めることができる
    • つまり、インデックス・ファンドを優位にするための莫大なコストは、すべてアクティブ・ファンドの投資家により支払われている
    • インデックス・ファンドの投資家は、市場参加者の血のにじむような努力と多大なコスト負担にタダ乗りできてしまう

とのこと。

このように、インデックス・ファンドは最強であるにも関わらず皆がインデックス・ファンドに殺到しないのは、「オーバーコンフィデンス・バイアス」を持っているから、という「心理的な要因」によるものだというのだ。

これは大変興味深い。

且つ、皆がインデックス・ファンドに殺到を(仮に)したら(しないという前提だが)アクティブ・ファンドがぼろ儲けできるということも、逆説的で大変面白い。

「市場の効率性」の「度合い」がキーになっていて、「歪み」が「効率的」になるパワーはとてつもなく大きい、というのがポイントだろう。

どうやら優秀な頭脳が高給でアクティブ・ファンドに雇われ、24時間365日Watchしているうちは、この流れは変わらないのであろう。。

今後ITが発達し人類の知能を代替し始めたらどうなろうのだろうか。。より加速するシナリオしか思い浮かばないのは私だけだろうか。。

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