#084 なぜ投資のプロはサルに負けるのか 第六章 それでも投資したい人のために③
本日は、第六章(最終章)「それでも投資したい人のために」の、その③を解説したい
以下が第六章の内容となる。本日は4について解説する
1.投資なんてせずに会社に行って、上司に怒鳴られながら一生懸命働くのが一番
2.競馬やパチンコや宝くじよりは株の短期売買が断然お得
3.リスクを承知でお金を増やしたいならインデックス投資
4.アセット・アロケーションで9割決まる ←本日
5.一生ファイナンシャル・アドバイザーいらずの究極のフローチャート
6.ファイナンシャルフリーダム
■4.アセット・アロケーションで9割決まる
- 投資がうまく行くかどうかは、実はアセット・アロケーションの段階でほとんど決まってしまうというファイナンス理論の実証研究がある
- 株式投資をする人は、どの会社に投資するか必死に考える
- 不動産投資をする人も、どの物件を購入しようか必死に考える
- しかし、投資の成否はむしろその前の段階の、各資産クラスにどのように資産を配分するか決める時点で、ほとんど決まってしまっている
- 例:1億円を株式と不動産へ投資する場合
- 資金を株式に3,000万円、不動産へ7,000万円がよいか
- 株式に7,000万円、不動産へ3,000万円がよいか
- 資産運用がうまく行くかどうかの90%は、個別の銘柄選択ではなく、アセット・アロケーションで決まってしまう
- 残念ながらファイナンス理論はアセット・アロケーションが重要だということは教えてくれない
- 明確な答えもない
- 理論モデルはいくつもあるが、実用性がない
- 理由は個人のアセット・アロケーションは、自分自身の経済価値を考慮しなければならない為、非常に難しい問題となる
- 例:日本の証券会社に勤めている日本人のサラリーマン
- 日本株が活況なら会社も安泰、ボーナスも期待できる
- 日本株が暴落すると、ボーナスもカットされ、下手するとリストラされる
- この人がTOPIXのインデックス・ファンドに全財産を投入していた場合
- リストラされ、投資も大きな損失という泣きっ面に蜂状態となる
- このような株式市場と業績が連動している人は、株式の比率を下げて、現金や不動産などの比率を上げる方がよい
- 資金量の問題
- 株式と不動産に投資する場合
- 株式市場はインデックス・ファンドが1万円からでも買える
- 不動産は安い中古マンションでも1,000万円は必要
- もし株式と不動産に3:1で投資しようとしたら、最低でも3,000万円+1,000万円で、計4,000万円必要となる
- 最近はREIT(上場不動産投信)という商品があり、資金量があまりなくとも投資は可能
- しかし、高いコストの為、資金が少ないうちは不動産投資を諦めても特に問題はない
- 最適なアセット・アロケーション
- 個人のそれぞれの状況によっても変わる
- 資金量の問題もある
- 完全に定式化ができない
- とはいえ、いくつかの指針はある
- 株式市場はインデックス・ファンドを利用
- 日本株はTOPIX、外国株はMSCI-Kokusaiに連動するインデックス・ファンドを利用
- 比率は、現代ポートフォリオ理論に従い、日本株と外国株の時価総額の比率で組み合わせる
- TOPIX 15対MSCI-Kokusai 85くらいにする
- 世界の国債などほかの資産クラスにも投資した方が、更に分散効果が働いてリスクを低減できる
- 海外の国債に投資するには、シティグループ世界国債インデックスが購入可能
- 日本の国債に投資するには、個人向け国債を買う
- 理想的には、日本と海外の不動産、社債、発展途上国にも投資したい
- MSCI-Kokusaiは海外の「先進国」の株式市場を表すインデックス
- BRICsのような発展途上国をカバーしていない
- しかし現時点(2008年)では、これらの資産クラスに安いコストで投資できる金融商品はほぼない
- 個人で直接投資しようとすると、かなりの資金量が必要
- その為、こららの資産クラスへの投資はとりあえず諦めるのが無難
- 日本と海外の先進国の株式市場、かつ世界各国の国債に投資すれば、十分すぎるくらいの分散効果が期待でき、かつ世界経済の成長から利益を得ることができる理想に近い国際分散投資が可能
- 結局、普通の日本人が手軽に低コストで投資できる資産クラスは
- 日本株、外国株、日本国債、外国国債となる
- これらのアセット・アロケーションをどうするか
- 究極的な答えはない
- それは自分自身がどれだけリスクを許容できるかによる
- リスクを積極的に取りたい場合、外国株と日本株の比率を高くする
- リスクを避けたい場合、外国国債、日本国債の比率を上げる
- 日本では古くから「財産三分法」といい、日本国債、日本株、日本不動産に均等に投資するアセット・アロケーション手法が知られている
- が、理論的な根拠は全くない
- 特に現在は海外の株式市場に簡単に投資できる方法がある
- 国際分散投資を行わないのは、リスク分散の点からとても損
- 最近はアセット・アロケーションをプロがやってくれる「資産分散型」という投資信託が流行っている
- これには気を付けた方が良い
- このような投資信託は、親ファンドの下に子ファンドがぶら下がっている「ファンド・オブ・ファンズ」の構造となっている
- 運用報酬が親ファンドと子ファンドで2重に取られる仕組み

- その為、コストが高くつく
- 子ファンドのコストは外からわかりにくくなっている
- 投資のプロがアセット・アロケーションをしたからといって、特段優れているわけではない
- 自分でやれば余分なコストをかけずにすむ
- 筆者は個人的に
- 外国株85:日本株15:外国国債50:日本国債0
- にしている
- 日本国債の比率が少ないのは、個人的に日本政府をあまり信用していないから
とのこと。
このセクションでは、「アセット・アロケーション」が重要との話であった。
しかしながら、何が最適なアセット・アロケーションかは、個人の状況(保持する資金量、リスク許容度、本業との関連度等)により、異なるということであった。
ただ言えることは、1)国内・海外は分散させた方が良く、安全資産である債権も入れた方が良いことと、2)インデックス・ファンドを利用すること、を推奨している。
本書が記載された時点では、債券のインデックス・ファンドはないと言及していたが、現時点(2021年/5)ではあるようであった(eMAXIS Slim 国内債券インデックス(https://emaxis.jp/fund/252648.html))
さらに、このアセット・アロケーションを「プロ」が実施するサービスはあるものの、手数料が2重、3重に取られるので、辞めた方がよい、と言うのがアドバイスである。
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