#091 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント C. 第二部 クワドラントが違えば人間も違う その②
本日も、ロバート・キヨサキ氏「改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」(2013/11/8)について、解説して行きたい。
本日は「D.第二部 最高のあなたを引き出す」の0~2を解説していく
A.まえがき
B.はじめに
C.第一部 クワドラントの右側か左側か
D.第二部 最高のあなたを引き出す ←本日
0.クワドラントが違えば人間も違う
1.その人の言葉でクワドラントが分かる
2.クワドラントによる本質的な違いとは
3.他人の力を最大限引き出すのがリーダーシップ ←本日
4.起業家にもSタイプとBタイプがある ←本日
5.マクドナルドよりおいしいハンバーガーが作れるか? ←本日
6.他人の時間と他人のお金
7.金持ちであることと裕福であることの違い
8.裕福度は時間で測る
9.お金がお金を作る
10.株式ブローカーは投資家でない
11.投資家になろうとする人が少ない理由
12.時代遅れの年金プラン
13.なぜだれもが投資家になる必要があるのか
14.政府はもうあてにならない
15.だれもが投資家になる時代
16.経済的激変の時代
17.リスクの管理の仕方を学ぶ
E.第三部 クワドラントの右側で成功する為に
■3. 他人の力を最大限引き出すのがリーダーシップ
- 金持ち父さんはヘンリー・フォードやジョン・D・ロックフェラー(スタンダードオイル社創業者)を尊敬していた
- 「リーダーシップの真髄」と「ビジネスに必要な技術」の2つのうち1つを備えている人はいる
- しかしBとして成功する為には、その両方が必要
- この2つは学習によって習得できる
- リーダーシップもビジネスも、「技」の側面の他に「科学」としての側面がある
- これらは一生をかけて学ぶべきもの
- 金持ち父さんはマーシャ・ブラウンが描いた「Stone Soup」(石のスープ)という子供向けの本をくれた
- 参考:「石のスープ」Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97
- 飢えた旅人(修道士とも)が集落にたどり着き、民家に食事を求めて立ち寄ったが、食べさせるものはないと断られてしまった。一計を案じた旅人は、路傍の石を拾うともう一度民家にかけ合った。「煮るとスープができる不思議な石を持っているのです。鍋と水だけでも貸してください」
- 興味を持った家人は旅人を招き入れた。旅人は石を煮始めると「この石はもう古くなっているので濃いスープになりません。塩を加えるとよりおいしくなるのですが」と説明した。家人は塩を持ってくる。
- 旅人は同じようにして、小麦と野菜と肉を持ってこさせた。できあがったスープは見事な味に仕上がっていて、何も知らない家人は感激してしまった。旅人はスープのできる石を家人に預けると、また旅立っていった。
- リーダーシップとは他人の力を最大限に引き出す能力
- その為に他人とともに働き、彼らのリーダーとなる方法を学ばされた
- 「ビジネスに必要な技術は簡単だ。難しいのは他人と一緒に働く事だ」と金持ち父さんは言っていた
- 筆者は物事がうまく行かなくなると、リーダーではなく「独裁者」になってしまう傾向がある
- その際「Stone Soup」をときどき読み返し、記憶を新たにしている
とのこと。
ただの石を「不思議な石」と称して、人に食材や調味料を持ってこさせる。このように人に何かを信じこませる言葉を自由に使える人、その結果、他人に行動を起こさせ、自らが望む姿を達成させる人、がリーダーシップがある人、ということなのだろう。
■4. 起業家にもSタイプとBタイプがある
- 自分でビジネスを始めようと思っているという人の多く
- たいていの場合、Sタイプのビジネスで、Bタイプのビジネスではない

・本当は右側のクワドラントへ移りたいと思っている

- しかしSタイプのビジネスを始めて、そこで立ち往生してしまう
- 結果SからBへ移ろうと試みる

- ただ、実際にBへ移れるのはごく少数である
- 理由は、それぞれのクワドラントで成功する為に必要な技術的能力、人間的素質が異なるから
- そのクワドラントで本当に成功するには、そこで必要とされる技術、心構えをしっかり身に付けなければならない
- Bタイプ
- 1年以上ビジネスから離れていても、戻った時には前より収益があがり、経営状態も良くなっている
- Sタイプ
- 1年以上ビジネスから離れると、戻りたくても戻るところがなくなっている
- 違い
- Sタイプは「仕事」を持っている
- 自分自身が「システム」(仕組み)になっている
- Bタイプは「システム」(仕組み)を持っている
- 「システム」(仕組み)を運営する為に優秀な人材を雇っている
- Sタイプは「仕事」を持っている
- 例:歯科医
- 歯科医は治療のすべてを一人でこなすことが出来る
- 問題は、休暇に出かけたいと思った時
- 休暇に行っている間は収入はなくなる
- Bタイプのビジネスオーナーは仕事ではなくシステムを持っているので、どんなに長い間でも休暇を取ることが可能
- Bとして成功するには
- 1.システム(仕組み)を持っていること。システムをコントロールする権限を持っていること
- 2.他人の上に立ってリーダーシップを取る能力を持っていること
- Sタイプの人が、Bタイプに生まれ変わるには
- 人間としてのあり方と自分の持っている知識を「システム」(仕組み)の方向へ切り替えなければならない
- だがうまく切り替えの出来る人は少ない
- 自分自身がシステムの一部になっていて、どうしても切り離せない場合も多い
とのこと。
ここはかなり真髄の話であった。Bになりたくてもなれない人が多い。
その理由は
・「ビジネスシステムを確立させる」という「意識」を持ち、
・その為の「仕組みを考え」、
・「信頼できる人を雇い」、
・「リーダーシップを持って彼らを導き」、
・「その人達に任せる」、
という一連のプロセスを実行に移す
・「知恵」と
・「勇気」と
・「行動力」
がないから、と言うことであると理解した。
■5.マクドナルドよりおいしいハンバーガーが作れるか?
- 会社を始めるにはどうしたらいいか、新しい製品やアイディアを売り出すための資金を集めるにはどうしたらよいかとよく聞かれる
- まず相手の話を聞く
- 10分ほどで相手が何を中心に考えているかがわかってくる
- 本当にやりたいことは製品を作る事なのか
- それともビジネスシステムを作る事なのか
- 耳にするのは次のような言葉
- 「XYZ社の製品なんて、この足元にも及びませんよ」
- 「あちこち探しましたが、こんな製品はほかにはありませんでした」
- 「この製品のアイディアを提供します。私は利益の25%がもらえればよいです」
- 「私はこれ(製品、本、曲、発明)のために長い年月を費やして来ました」
- このような人たちは、左側(EやS)のクワドラントの人
- この段階ではあまり厳しいことをいわずに、手加減する
- 理由は彼らは長い年月をかけてその人の中で培われてきた本質的な価値観やアイディアだから
- 場合によっては、何世代にもわたって受け継がれてきたものかもしれない
- 厳しいことを言ったり、根気よく耳を傾けるのを辞めると、すばらしいが触れたら壊れてしまいそうなアイディアの芽を摘み取ってしまうかもしれない
- 別のクワドラントで生まれ変わろうとしている一人の芽を摘み取ってしまうかもしれない
- 厳しいことが言えない段階で、相手に筆者の言いたいことを伝える方法として、マクドナルドの例を挙げる
- 「あなたはマクドナルドよりおいしいハンバーガーを作ることができますか」
- 新しいアイディアや新製品について話をしてくれた人は、一人の例外もなく「イエス」と答える
- 二番目の質問をする
- 「あなたはマクドナルドよりすぐれたビジネスシステムを作ることができますか」
- 違いがすぐに分かる人もいるが、なかにはピンとこない人もいる
- 直ぐ分かる人と、分からない人との差は、その人が左側のクワドラントに属しているか、右側のクワドラントに属しているかによる
- 左側のクワドラントに属している人の頭にあるのは、おいしいハンバーガーを作る事だけ
- 右側のクワドラントに属している人はビジネスシステムにより多くの重点を置く
- 筆者は以下のように説明をする
- マクドナルドのハンバーガーよりおいしいハンバーガーを作れる人はいくらでもいる
- だが、何億個のハンバーガーを世界中に提供できるシステムを持っているのはマクドナルドだけだ
- さらに筆者は
- マクドナルドに行きハンバーガーを1つ買い、そこに座って、ハンバーガーが自分の手元に運ばれるまでのシステムについて考えるように言う
- ビジネスシステムには、以下が含まれる
- 生のハンバーグを店に運んでくるトラック
- 材料の牛肉のもととなる牛を育てる牧場の労働者
- その牛を買うバイヤー
- 売上を伸ばす為のテレビのCM
- 経験の浅い若い店員たちに「いらっしゃいませ、ようこそマクドナルドへ」と言われるトレーニング
- フランチャイズ店のインテリア設計
- 地域を統括するオフィス
- ハンバーグを挟むバンズを製造する工場
- 世界中どこでも同じ味のする莫大な量のフライドポテト
- ウォール街でマクドナルドの為にお金を集める株式ブローカーたち
- これらの「全体像」が見えてきて初めて、BやIのクワドラントに移るチャンスが生まれる
- 世の中には新しいアイディアが限りなくある
- 提供できるサービスや製品を持っている人も何千万人もいる
- しかし本当に優れたビジネスシステムの作り方を知っている人は少ししかいない
- マイクロソフトのビル・ゲイツは、自分ですばらしい製品を作ったわけではない
- 他人の製品を買い、その死品を中心にして世界中を網羅する強力なシステムを作り上げた
- ④I(投資家)
- 投資家はお金でお金を作り出す
- お金が自分の代わりに働いてくれるので、自分で働く必要がない
- Iクワドラントこそ金持ちの活動の場だ
- いまどのクワドラントから収入を得ていようと、いつか金持ちになりたいと考えているひとは誰でも、最終的にはこのクワドラントに来なければならない
- 理由はお金が富へと変化するのは、このIクワドラントに他ならないから
- 4つのクワドラントの違い

とのこと。
若干「ビジネスシステム」という言葉が耳慣れなかった為、調べてみた。
どうやらマイケル・ポーターが提唱している「バリューチェーン」と同義のようだ(以下抜粋)
「ビジネス・システムとは、顧客を終着点として、製品/サービスを実際に届けるまでに行う事業のプロセスにおいて、どのような活動が必要なのかという観点から、それぞれの活動を時系列に分類し、その活動に沿って自社や競合他社の強み・弱みを整理することから、自社の特徴や課題を抽出する手法を指す。バリュー・デリバリー・システム(Value Delivery System)ともいう。
マイケル・E・ポーターのバリューチェーンの概念が根底にあるといわれおり、同様に、事業を顧客にとっての価値を創造する活動という切り口から分解し、それぞれの活動の特徴を正確に把握したうえで、それらの活動の連鎖を再構築するためのフレームワークとして利用される。」

個人的にこのバリューチェーンの方が耳慣れているので、今後本書で「ビジネスシステム」という用語が出てきたら、この「バリューチェーン」と置き換えて考えて行きたいと思う。